電撃大王×百合部トークショー レポ

 はい。本日参加してきました池袋アニメイト本店で開催の「電撃大王×百合部トークショー」!!

ゲストは皆さまご存じ『やがて君になる仲谷鳰先生 『籠の少女は恋をする』川浪いずみ先生 電撃大王編集部・楠達矢さんです。

参加者が緊張のあまり直前にコーヒーがぶ飲みしたり、9階まで階段であがってくるという珍妙な行動を起こしているのを楽しく拝見しながら待ってました。

そしてこちらが会場ドーン!

本当に記者会見場でした。後ろにある大きいスクリーンはなにに使うのかなー?と思っていたら1ミリも使われなくてちょっとおもしろかったです。

 

 まず始めに、記憶を頼りに書いているので間違ってる箇所あるかもしれません。というか、参加者プレゼントのサイン色紙が手渡しと告知された時点で狼狽して記憶がパーンと音を立てて散りました。

なのでなにか不備不都合等ございましたら教えてください。

 

下記ではトークショーで覚えてるとこ・印象に残ったとこを抜粋して記載していきます。

 

『エクレア』について

 『エクレア』は、『やがて君になる』の売り上げがなかなかよかったため、楠さんが「今ならいけるのでは?」で立ち上げた企画だそうです。曰く「僕の考えた最強の百合アンソロジー」。いいですね。いやもう、『エクレア』の刊行についてはひたすらにありがとうございます。

アンソロは通常複数の編集さんが分担して携わるらしいのですが、『エクレア bleue』はイラスト含めて19作品中、17作品が楠さん担当。またその時『やがて君になる』5巻発売準備と『籠の少女は恋をする』1巻発売準備、そしてインフルエンザ罹患と並行していたんですよね…すごい。ありがとうございます。

 

やがて君になる』のタイトルと帯

 やが君のタイトル案は他にもいくつかあり、『やがて〇〇な君になる』のようにもう少し長いのもあったそうです。

帯は1、2巻が楠さん案。3、4巻が仲谷先生案。5巻は4巻の予告で使用した文言を採用。

毎回お二人で案を出し合って、どちらのがよりいいか戦っているそうです。なにそれめっちゃ見たい。

今電撃25周年コラボで帯が変わっているみたいですが、帯含めて最高なのでぜひ通常帯も買ってほしいです。

 

『籠の少女は恋をする』について

 川浪先生は最初遊郭が舞台のお話を考えていらしたそうです。花魁同士の恋のお話。いいなー。正直言うとそちらもかなり読みたいです。宮木あや子さん『花宵道中』のような雰囲気の百合漫画がもしあったら最高ですね。

 それで設定をもう少し現代寄りにしたのが籠の原形ということを聞いて、大分納得がいきました。なぜあそこまで閉じた空間なのかと思っていたのですが、遊郭が元の舞台ならなるほど確かにです。

 

参加者質問(抜粋)

 

 ・『エクレア』の由来

 お菓子の名前にしようというのは予め決まっていたそうです。打ち合わせでいろいろ意見を募った結果、フランス語で稲妻、電撃が由来(諸説あり)の『エクレア』という案を採用。電撃だし読んだときの衝撃が電撃級、うまいですね。

ただエゴサすると「エクレアおいしー」というのがめっちゃ引っかかって来るので大変だそうです。

 

・行き詰まったらどうするか

仲谷先生:とりあえず頭のなかにあるものを全て文章化してアウトプット。それを楠さんに送って意見を聞く。

川浪先生:モヤモヤっとあるものを楠さんに出すとシュッとして返ってくる。

 

こことてもいいなぁと思いました。

楠さんは作家さんに「編集を便利な道具として使ってほしい」とお声がけしているようで、「行き詰まったとき等は誰かの意見を聞くのがいい。でもあんまりいっぱいだと意見がたくさんあってまとまらなくなるから、信頼できる一人に見せるのがいいと思うんですよ」と仰っていました。かっっこよくないですか?

そしてそのあとに「でも道具なんで、あんまりひどく扱うと壊れます」とくだけた雰囲気にしていて、さすがでした。

 

百合部の皆さん

 大部分の司会をしてらしたゲマズ百合部長はかゆいところに手が届く質問と仕切り、ツッコミで大活躍されてました。「やが君読んでください!なんなら付箋貼って渡しましょうか!?」や籠の少女の「しんどい~~でも気になる~~」あたりが個人的にわかりすぎて頷いてました。

 メイト百合部長は「女体が好き」トークで若干着地点迷子になりかけた際、「好きなものを描いてるといい感じになるんですね!」と素晴らしいフォローをしてくれてました。(「フォローして!」って要請されてたのも笑いました)

  書泉百合部長さんは『エクレア blanche』 を「ブランチ」と読んでいたことが発覚。「ご飯?」とツッコまれていましたが、私も「エクレアの2冊目」とか「エクレア ブランch」とお茶を濁していたので目を逸らしつつ笑いました。

 

とまあ、全体的にアットホームで、トークショーってこんなに笑う感じなのか~と思うくらいに楽しかったです。他にも様々な質問に答えてくださったり、聞けて嬉しかった話等々たくさんありますが、この記事はこの辺で終わりにします。

本当に楽しかったです。関係者の皆様方ありがとうございましたー!!

 

原点回帰ー仲谷鳰『やがて君になる』

 これは「百合作品」 アドベントカレンダー9日目の記事です。 

 

さて、最終日です。

最終日なににしようかと考えてましたが、当初から

等々言われてましたので、まーね。ご期待に沿ってやろうじゃあーないのよ。原点回帰。

※今日ので感情8億倍の書くからうっかり飛ばした昨日と一昨日は見逃して!

 

はい、というわけで最終日は漫画です。

仲谷鳰先生の『やがて君になる』。

 

 

 「第3回 次にくるマンガ大賞」コミックス部門第4位 入賞。

昨年発売された『百合の世界入門』にて仲谷先生が「百合界に彗星のごとく登場したスーパースター」と形容されていたりと、実力に伴った知名度も獲得しもはや百合好きの間では知らない人はいないと言っても過言ではないでしょう。

 

前知識なく読み、あまりのおもしろさに犬神家さながらの落ち方をして下記記事を書いたのが約1年半年前。

maayada.hatenablog.com

わりと飽きやすくミーハー気質なのですが、右肩上がりでおもしろくなり続ける展開に一瞬も目を離す隙などなく今日まできました。

 

驚異的なバランス感覚

 やが君の特筆すべき点として、驚異的なバランス感覚があります。

まず主人公の小糸侑(表紙右)のことが好きな七海燈子先輩(表紙左)は、侑に好かれたくありません。

燈子先輩のことが好きな佐伯先輩は、気づかれると敬遠されるので近づきません。

侑は、そんな二人のことをわかった上で燈子先輩を受け入れています。

 

うん、文字に起こすと結構重めですね。

特に燈子先輩は性別女性だからなんか曖昧になっていますが、

やっていることセフレとあまり変わらないのでは?とすら思います。

 

人を好きになりたい侑は、燈子先輩のことを好きになったら関係が終わる。

燈子先輩に気持ちを伝えたい佐伯先輩は、それを実行したら関係が終わる。

誰か一人でも動こうものなら、燈子先輩の現在の満たされた関係が終わる。

 

このように三者三様の思いがギリギリのところで均衡を保っており、誰か一人でも動こうものならあっという間に崩れます。

そこそこ逼迫した関係なので胃がキリキリした状態になってもおかしくはないのですが、そこがすごいんですよね。そう見せない。酸いと甘いのバランスが絶妙。

 

しかし現状から進むためには誰かが動かなくてはならず、次の展開が気になりすぎて毎月27日を指折り数えて待っています。

 

ずるいかわいいずるい

 燈子先輩がかわいいのずるいんですよ。

やってることセフレなのに(違う)自分から色々けしかけてきては、好きという気持ちにはしゃぎまくり浮かれまくりなので侑が呆れ半分で普通に許容してしまうんですよね。器がでかい。

しかも燈子先輩は頭が回るだけあり、引き際や境界線を見極めて突き放されない距離取って来るのでまーうまい。

踏み込まれても不快じゃない距離感でそんなかわいい反応されてしまったら無下にもできないじゃないですか。ずるいネー。

ここら辺も実は、さっきのバランスの話と繋がってます。

 

雄弁に語る細部

 やが君の細部へのこだわりは尋常でなく、過去気づいたのだけでも下記があります。

 

 他にも3巻の構図が1巻構図との対比であったり、扉絵花言葉がサブタイトルとリンクしていたりとと探せばザクザク出てきます。

絶対私が気づいてないのまだまだあると思うので、気づいた方ぜひ教えてください。

 

1月27日 5巻発売

 はい、えー、1月27日にですね、待望の5巻発売です!

「好き」を暴力的と捉える人の背中をどう押すか、小糸侑ベストアンサー回があるので楽しみにしててください。私も楽しみにしてます。

 

真逆で理解できない二人の歩みー村田沙耶香『マウス』

 これは「百合作品」アドベントカレンダー8日目の記事です。

 

今日は小説です。村田沙耶香先生の『マウス』。

※ネタバレがあります。未読の方はご注意ください。

 

マウス (講談社文庫)

マウス (講談社文庫)

 

 私は内気な女子です――無言でそう訴えながら新しい教室へ入っていく。早く同じような風貌の「大人しい」友だちを見つけなくては。小学五年の律(りつ)は目立たないことで居場所を守ってきた。しかしクラス替えで一緒になったのは友人もいず協調性もない「浮いた」存在の塚本瀬里奈。彼女が臆病な律を変えていく。(Amazon商品紹介より)

 

 人の輪から弾かれないように嫌われないように、常に自分の役割を探してそこに自分を当てはめて生きている律。

人の輪から外れても嫌われても、常に自分の内側にベクトルが向いている瀬里奈。

律は最初そんな瀬里奈が全く理解できず、憤りすら覚えています。しかし瀬里奈の周りへの無関心は自分とは真逆で、徐々に興味を覚えていきます。

 律が起こしたとある行動をきっかけに瀬里奈は劇的に変わり、元々の容姿も相まってスクールカーストを駆け上がっていくようになります。律はそんな瀬里奈に自分を重ねて得意な気持ち半分、言い表せない複雑な気持ち半分。

 

 特別

 スクールカーストトップに駆け上がった瀬里奈ですが、実は周りのことに無関心なのは変わりないです。いつも自信なさげに泣いて怯えていたのが、『くるみ割り人形』のマリーになりきることで堂々と振る舞えるようになっていたのです。なのでマリーにならなければ怯えて外出もできませんし、基本的に周りのことには無関心です。

律以外。

瀬里奈はマリーになっていると疲れてくるので、素の自分を知っている律といると安らぐと言います。…あれ、やが君?

 

変えたい変わりたい?

 律はいつまでも絵本の世界にいちゃダメだと瀬里奈を諭します。素の自分を出していかないといけないと言います。しかしそれは、周りを気にせず自分の好きなことをしていても許容される瀬里奈への嫉妬と羨望がすべてごっちゃになっています。

瀬里奈を変えようとする試行錯誤する段階で、律は無理やり周りに合わせている自分や極端に周りの反応を恐れている自分を指摘され逆上し、喧嘩に発展します。

 そして律は指摘された自分の殻を初めて真正面から見据えます。同じ頃、瀬里奈も。

 

 真逆で理解できない二人が、お互いを変だ変だと言い合いながらぎこちなく歩んでいくのがとてもいいなと思いました。

二転三転する展開に目が離せないーパク・チャヌ監督『お嬢さん』

 これは「百合作品」アドベントカレンダー7日目の記事です。

 

7日目の今日は映画です。パク・チャヌ監督の『お嬢さん』。

 

お嬢さん(字幕版)

お嬢さん(字幕版)

 

 こちら今年大ヒットしましたね。

サラ・ウォーターズさんの『荊の城』が原作小説です。

小説版は精神病棟のシーンがやや冗長で読むの大変でしたが、ラストに読んでよかったと思える展開が待っています。

あと、歯を研ぐシーンの色香が映画に負けず劣らずです。

 

二転三転する展開

 映画版『お嬢さん』はスッキと秀子お嬢様、そして伯爵の三人が主な登場人物です。

盗人小屋で暮らすスッキに、伯爵と呼ばれる男が儲け話を持ってきます。

それは田舎の閉ざされたお城で叔父と二人で暮らす秀子お嬢様の遺産をいただく、というものでした。計画は以下の通りです。

まず秀子お嬢様を伯爵に惚れさせ、お城から連れ出します。

そのまま結婚し、婚姻関係を結びます。

法的な関係さえ手に入ってしまえば、秀子お嬢様はもう用済みなので精神病院へ閉じ込めます。

その手伝いをスッキにしてほしいという依頼でした。

そうして手に入れた遺産はスッキと伯爵の山分けです。

と、いうのが当初の計画でした。

 

 途中まで計画は順調に進んでいるように見えます。

しかし視点を変えるとそこには別の物語が脈々と流れており、

最後の最後に驚くようなどんでん返しが待っています。

 

匂い立つ色香

 映画版『お嬢さん』のベストアイテムで賞は飴です。

突然何言ってるんだこの人と思われるかもしれませんが、ストアイテムで賞は飴なんです。

そしてR18なだけあって直接的なシーンもあるのですが、正直言って私はそこよりも二人でドレスの着せ替えをしているときや、スッキが秀子お嬢様の歯を研ぐシーンの方が強く印象に残っています。

いや飴出てこないじゃんとお思いのあなた。

飴は複数のシーンで最大限の存在感を発揮しています。

 

舞台 美術

 『お嬢さん』は舞台や美術、衣装にも相当の力が入っています。

なので画面をぼんやりながめているだけでもカメラが切り取る世界が美しいので充分に楽しめます。(実際はおもしろくてぼんやりしている暇など全くないのですが)

 

 一番話したいスッキと秀子お嬢様のことはネタバレ不可避なので、観てからお話ししましょう。


映画『お嬢さん』予告

 

 

人生史上最高峰のラブレターー松浦理英子『裏ヴァージョン』

 これは「百合作品」アドベントカレンダー6日目の記事です。

 

6日目の今日は引き続き小説です。松浦理英子先生の『裏ヴァージョン』。

 

P+D BOOKS 裏ヴァージョン

P+D BOOKS 裏ヴァージョン

 

 

 私のこれまでの人生史上、『裏ヴァージョン』に勝つラブレターはないです。

※ネタバレがあります。未読の方はご注意ください。

 

主文は一言 二重構成

 始まりは短編です。そしてその短編の最後には辛辣な一言コメントがついています。

しばらくはその作りで続いていきます。

短編の最後につけられるコメントの切れ味がえぐいです。鋭角から鋭利な刃がぐっさりきます。

少しずつ読んでいくとわかってきますが、短編を書く筆者とそれに辛辣コメントを添える読者が、『裏ヴァージョン』という一冊の本を通して長編を紡いでいく二重構成になっています。

コメントに応えて次の短編が書かれていくので、次の話が気になってどんどん先へ進みます。

 

友情?恋愛?言い表せない関係性

 『裏ヴァージョン』で一番好きなのが、筆者と読者の関係性です。

二人の関係性を表している一文を見つけたので引用します。

 

人は性を介在させずに分かりあえるのか。女性が、家庭でも男でもなく同性の友人を求める切なさと、痛ましさを描いた“友情”小説

 

(文春文庫『裏ヴァージョン』作品紹介より)

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167742010

 

 上記では「“友情”小説」と書かれていますが、無理にカテゴライズしなくいいと思います。というか、カテゴライズできないと思います。

あれだけバチバチ言い合いながらもお互いのことあんなにも好きだってわかるラブレター、これから先もない気がします。

 

 少し短いですが、好きすぎてあんまり話せないのでここまでにします。

 

 

 

凍ったシャボン玉を思わせるー恩田陸『蛇行する川のほとり』

 これは「百合作品」アドベントカレンダー5日目の記事です。

5日目の今日は漫画から離れて小説です。恩田陸先生の『蛇行する川のほとり』。



百合の定義がガバガバ

 この本を語るにあたり、百合について少しお話します。
まず最初に、私は百合の定義がガバガバです。女性自認の方が同じく女性自認の方に向ける感情を全部ひっくるめて「百合」と呼んでいます。
なので、好意はもちろんのこと嫌っていようが憎んでいようがその感情がひとえに相手に向かっていれば百合です。
人様の百合の定義に異をとなえるつもりは毛頭ありませんが、私のはこうです。

凍ったシャボン玉にそっと触れる

 『蛇行する川のほとり』で特筆すべきのはその透明感です。
シャボン玉を凍らせて光に透かしたような透明感ある少女性を書ききってる本はなかなか見つかりません。
この本ではそれを間近で見ることができます。
主人公の毬子がその少女性の持ち主です。
本人ですら気づいていないその光輝く一瞬に魅せられた先輩二人、香澄と芳野が毬子を夏休みの美術合宿に誘ったことから物語は始まります。
※香澄と芳野もそれぞれに少女性を持っていますが、明確に強調されているのは毬子。

増水する川

 憧れの先輩に誘われた毬子は浮き足立ちますが、その直後から頭の隅では小さくアラームが鳴り響き続けます。
その警鐘は毬子の過去へと繋がるもので、香澄と芳野の過去とも密接に繋がっています。
そしてその過去のために香澄と芳野は同じ鎖に縛られています。

絡み合う鎖

 同じ過去に縛られる香澄と芳野は、端から見るとさばけてますがその実抜けられない共依存の関係性にあります。
そしてその鎖を毬子にもかけようとする方と、無意識にストッパーになる方。
まるで二人で一対になっているようです。
香澄と芳野、きっちりした方とおっとしりした方、神経質と大胆、鎖をかける方とかけられる方。
読んでるうちにパワーバランスが変わり、どちらがどちらか迷い始めた頃に起こる事件。

 最初に百合の定義に触れたのはこのためです。
香澄と芳野は鎖に絡めとられた関係であり、それは純粋な好意だけではないからです。
お互いがお互いに罪の意識のようなものも感じていたり、畏怖や依存、もちろん好意もありますがそれだけじゃない複雑な感情が絡まり合っています。
そんな二人が毬子を巻き込んで行う夏の合宿。


 一旦読み始めると最後までノンストップで読み進めてしまい、そして読後は夏の夕暮れを思わせる本だと思います。
冬真っ盛りの今、夏が恋しくなったらぜひどうぞ。

もはや語る必要あります?-西UKO『コレクターズ』

 これは「百合作品」アドベントカレンダー4日目の記事です。

 

 はい、ではサクサクいきましょう。

4日目は西UKO先生の『コレクターズ』です。

  

 

 言わずと知れた名作中の名作社会人百合ですね。先日記事書くために読み返してたらうっかり熟読してしまい遅刻するとこでした。危ない。

  この記事を書くにあたり、『コレクターズ』はもう私が買うから読んで!って友達に辻斬り形式でオススメしてもいいくらい好きですし周りにも好きな人たくさんいますし、もはや語るところなくない…??と小一時間PC前でフリーズしてました。もうなんていうか、読んで。

 

 本道楽と着道楽、趣味は違えど根は同じ

 忍(表紙左)は本道楽。ブックカバーに1万かけたり初版、2版、3版、新版とこれでもかと本を買い揃えます。

一方貴子(表紙右)は着道楽。季節はもちろん、出かける先々のために頭の先から爪の先まで服や靴を新調します。

お互いがお互いの趣味に「「なんであんなのに金かけるのかわからん」」と思っていますし、それが元でしょっちゅうケンカもしてますが結局は似た者同士。なんやかんやで終着点が同じなところにほっこりします(しかもお互いそれに気づいてない)。

 

 背中合わせで一対の関係

 『コレクターズ』で好きなところは、二人の距離感です。それぞれ没頭できる趣味があり、友人があり仕事があります。そうして自分の世界を築きながらも、二人が二人でいようとするところにどうしようもなく惹かれます。

 そしてケンカなんだか惚気なんだかわからない言い合いも、いつもの始まったよとやや呆れ気味にそんな二人を眺める友人ズも『コレクターズ』の素敵な世界を作っています。

 なんとなく疲れた時に、温かい紅茶を用意してゆっくり読みたくなるような漫画です。