二転三転する展開に目が離せないーパク・チャヌ監督『お嬢さん』
これは「百合作品」アドベントカレンダー7日目の記事です。
7日目の今日は映画です。パク・チャヌ監督の『お嬢さん』。
こちら今年大ヒットしましたね。
サラ・ウォーターズさんの『荊の城』が原作小説です。
小説版は精神病棟のシーンがやや冗長で読むの大変でしたが、ラストに読んでよかったと思える展開が待っています。
あと、歯を研ぐシーンの色香が映画に負けず劣らずです。
二転三転する展開
映画版『お嬢さん』はスッキと秀子お嬢様、そして伯爵の三人が主な登場人物です。
盗人小屋で暮らすスッキに、伯爵と呼ばれる男が儲け話を持ってきます。
それは田舎の閉ざされたお城で叔父と二人で暮らす秀子お嬢様の遺産をいただく、というものでした。計画は以下の通りです。
まず秀子お嬢様を伯爵に惚れさせ、お城から連れ出します。
そのまま結婚し、婚姻関係を結びます。
法的な関係さえ手に入ってしまえば、秀子お嬢様はもう用済みなので精神病院へ閉じ込めます。
その手伝いをスッキにしてほしいという依頼でした。
そうして手に入れた遺産はスッキと伯爵の山分けです。
と、いうのが当初の計画でした。
途中まで計画は順調に進んでいるように見えます。
しかし視点を変えるとそこには別の物語が脈々と流れており、
最後の最後に驚くようなどんでん返しが待っています。
匂い立つ色香
映画版『お嬢さん』のベストアイテムで賞は飴です。
突然何言ってるんだこの人と思われるかもしれませんが、ストアイテムで賞は飴なんです。
そしてR18なだけあって直接的なシーンもあるのですが、正直言って私はそこよりも二人でドレスの着せ替えをしているときや、スッキが秀子お嬢様の歯を研ぐシーンの方が強く印象に残っています。
いや飴出てこないじゃんとお思いのあなた。
飴は複数のシーンで最大限の存在感を発揮しています。
舞台 美術
『お嬢さん』は舞台や美術、衣装にも相当の力が入っています。
なので画面をぼんやりながめているだけでもカメラが切り取る世界が美しいので充分に楽しめます。(実際はおもしろくてぼんやりしている暇など全くないのですが)
一番話したいスッキと秀子お嬢様のことはネタバレ不可避なので、観てからお話ししましょう。