原点回帰ー仲谷鳰『やがて君になる』

 これは「百合作品」 アドベントカレンダー9日目の記事です。 

 

さて、最終日です。

最終日なににしようかと考えてましたが、当初から

等々言われてましたので、まーね。ご期待に沿ってやろうじゃあーないのよ。原点回帰。

※今日ので感情8億倍の書くからうっかり飛ばした昨日と一昨日は見逃して!

 

はい、というわけで最終日は漫画です。

仲谷鳰先生の『やがて君になる』。

 

 

 「第3回 次にくるマンガ大賞」コミックス部門第4位 入賞。

昨年発売された『百合の世界入門』にて仲谷先生が「百合界に彗星のごとく登場したスーパースター」と形容されていたりと、実力に伴った知名度も獲得しもはや百合好きの間では知らない人はいないと言っても過言ではないでしょう。

 

前知識なく読み、あまりのおもしろさに犬神家さながらの落ち方をして下記記事を書いたのが約1年半年前。

maayada.hatenablog.com

わりと飽きやすくミーハー気質なのですが、右肩上がりでおもしろくなり続ける展開に一瞬も目を離す隙などなく今日まできました。

 

驚異的なバランス感覚

 やが君の特筆すべき点として、驚異的なバランス感覚があります。

まず主人公の小糸侑(表紙右)のことが好きな七海燈子先輩(表紙左)は、侑に好かれたくありません。

燈子先輩のことが好きな佐伯先輩は、気づかれると敬遠されるので近づきません。

侑は、そんな二人のことをわかった上で燈子先輩を受け入れています。

 

うん、文字に起こすと結構重めですね。

特に燈子先輩は性別女性だからなんか曖昧になっていますが、

やっていることセフレとあまり変わらないのでは?とすら思います。

 

人を好きになりたい侑は、燈子先輩のことを好きになったら関係が終わる。

燈子先輩に気持ちを伝えたい佐伯先輩は、それを実行したら関係が終わる。

誰か一人でも動こうものなら、燈子先輩の現在の満たされた関係が終わる。

 

このように三者三様の思いがギリギリのところで均衡を保っており、誰か一人でも動こうものならあっという間に崩れます。

そこそこ逼迫した関係なので胃がキリキリした状態になってもおかしくはないのですが、そこがすごいんですよね。そう見せない。酸いと甘いのバランスが絶妙。

 

しかし現状から進むためには誰かが動かなくてはならず、次の展開が気になりすぎて毎月27日を指折り数えて待っています。

 

ずるいかわいいずるい

 燈子先輩がかわいいのずるいんですよ。

やってることセフレなのに(違う)自分から色々けしかけてきては、好きという気持ちにはしゃぎまくり浮かれまくりなので侑が呆れ半分で普通に許容してしまうんですよね。器がでかい。

しかも燈子先輩は頭が回るだけあり、引き際や境界線を見極めて突き放されない距離取って来るのでまーうまい。

踏み込まれても不快じゃない距離感でそんなかわいい反応されてしまったら無下にもできないじゃないですか。ずるいネー。

ここら辺も実は、さっきのバランスの話と繋がってます。

 

雄弁に語る細部

 やが君の細部へのこだわりは尋常でなく、過去気づいたのだけでも下記があります。

 

 他にも3巻の構図が1巻構図との対比であったり、扉絵花言葉がサブタイトルとリンクしていたりとと探せばザクザク出てきます。

絶対私が気づいてないのまだまだあると思うので、気づいた方ぜひ教えてください。

 

1月27日 5巻発売

 はい、えー、1月27日にですね、待望の5巻発売です!

「好き」を暴力的と捉える人の背中をどう押すか、小糸侑ベストアンサー回があるので楽しみにしててください。私も楽しみにしてます。